不動産分野TCFDガイダンスを改訂

─国交省、デベなどの取り組み事例紹介

 国土交通省は、「不動産分野TCFD対応ガイダンス」を改訂した。ガイダンス策定以降の約3年間、気候関連のサステナビリティ情報開示の重要性は高まり続けている。改訂版には、国内外の規制・制度の動向の変化をとらえた不動産分野での情報開示のポイントや、企業の最新事例を盛り込んだ。

 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、全企業に対し、気候関連リスク・機会を評価した結果を経営戦略やリスク管理などに反映させ、情報開示を行うことを求めた。近年の動きとしては、国際的な統一基準を策定するため、21年にIFRS財団の下部組織に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が発足。23年6月にIFRSサステナビリティ開示基準S1号(全般的要求事項)、S2号(気候関連開示)を公表した。TCFDは23年10月に解散。その後はISSBが役割を引き継いだ形だ。ISSBのS2号は4つのコア・コンテンツとして、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標を挙げる。TCFDが求める内容を踏襲している。

 こうした最近の世界的潮流を解説しつつ、改訂版は、サステナビリティ情報開示の進捗状況でステップ1~3に分け、参考となる情報をまとめた。例えばステップ1の企業に対しては、具体的取り組みとそのための社内体制等について、東急不動産ホールディングス、西松建設、オリックス不動産投資法人、三菱地所、東京建物の経験をまとめている。

 ガイダンスのターゲットには、不動産業者のほか、不動産業者を投融資先とする投資家や金融機関も含まれる。国交省は改訂版を現行ガイダンスを追補するものと位置付けており、両方の参照を推奨している。

2024.04.19