都心収益物件、富裕層が低利回りで購入

―野村不ソリューションズ、24年度上期の取引動向を公表

 野村不動産ソリューションズが運営し、CRE戦略を支援するサイト「CREナビ」で、収益用不動産の取引動向に関するレポートが公表された。24年度上半期における同社での収益不動産の取引数は前年同期比で5%の増加だった。税制上のメリットなどから、国内外の富裕層が、低い利回りでも東京都心の収益用不動産を高額で購入するという。具体的には、アジアの新興企業創業者のファミリーオフィスが、東京・中央区のオフィス売買で、物件価格50億円弱のNOI利回り2%台半ばで取得した事例を挙げた。

 レポートによると、東京都心部の収益用不動産の相続税評価額は、実勢価格の22~37%の水準と考えられるとする。そのため、相続税対策や事業承継対策として効果的で、一般的な不動産投資家が期待するよりも低い水準の利回りを受け入れ、高額で取得する動機や機会がある模様だ。法人営業本部リサーチコンサルティング部次長の中井将之氏は「低いリターンの受容に加えて、都心に立地する不動産が重視されてアセットの違いはそれほど重要ではない場合がある。下半期に入ってさらに強気の取引もみられる」と話す。

 2%台半ばのオフィス売買事例は、築30年程度の銀座エリアに近接した大通り沿いの物件だった。建物のグレード感や良好な管理状態も評価されたとする。また、賃貸住宅でも低利回りで都心の物件などを取引する事例が複数ある。都心6区に所在して近隣に都内有数の大規模公園がある25年竣工予定の物件では、東京の専門メーカー代表の資産管理会社が物件価格10億円台、NOI利回りは3%強で取得した。経営する会社の本社に近いことや高い資産性が見込めることを評価して、長期で保有しながら運用していく方針だ。

2025.01.31