
都内マンション所有者の海外居住率調査
─国交省、登記情報から初の調査に着手
都内マンション所有者の海外居住率調査
─国交省、登記情報から初の調査に着手
国土交通省は、東京都内のマンションを対象に、海外居住者が所有している割合の調査に乗り出した。国として初の調査で、高騰が続くマンション市場の分析の一環という位置付け。法務省から約11万件の所有権の保存・移転登記のデータ提供を受け、ここ数年の取引ベースでの分析を進めている。
登記簿には国籍の項目がなく、不動産の所有者が外国人かどうかまでは分からない。国交省は、所有者の住所に着目。11万件のデータから所有者住所が海外になっているものを抽出し、その分析を進めている。精査段階であり調査完了時期は未定だが、都内全体に加え、都心のみなどエリアに分けた分析も可能になる見込みだ。
都内のマンション価格は高騰が続く。本社・不動産経済研究所の調査では、25年3月の東京23区のマンションの平均価格は1億4939万円で、一般のサラリーマンが購入しづらい状況にある。不動産価格が上昇する局面では不動産市場の分析は一層重要度を増す。国交省は従来から、法務省の登記情報をもとに市場動向を示す「不動産価格指数」を算出している。今後の不動産施策を検討していくための更なる市場分析の一環として有益と判断し、海外居住率の調査に着手した。
海外に住む日本人が含まれ、国内に住む外国人は含まれない調査になる。外国人による不動産取得の規制を意図した調査ではないとみられる。ただ、昨今のマンション価格に対しては国民の関心が高い。今国会でも「外国人による居住を伴わない投資目的での購入がマンション価格高騰の要因ではないか」という見方から、たびたび議論になっている。調査結果も高い関心を呼びそうだ。
2025.05.23