
技能者の持続確保、職場環境整備に課題
─国交省、ハウスメーカーや工務店を調査
技能者の持続確保、職場環境整備に課題
─国交省、ハウスメーカーや工務店を調査
国土交通省は、大手ハウスメーカーや住宅施工会社(工務店)などを対象とした建設技能者の実態調査結果をまとめた。住宅分野の建設技能者の持続的確保を目指す議論の土台とするための調査。就業規則の有無について調査したところ、過去3年間の新築の平均完成工事高(売上)が10億円以上の業者は全社で就業規則を備えているのに対し、1億円未満業者では37・8%が就業規則を設けていなかった。同様に、小規模業者ほど技能者確保がしづらい職場環境が把握された。
育児休業制度も、10億円以上業者は100%が設けているが、1億円未満業者は40%の業者が設けていなかった。社外の一人親方などの住宅建設技能者と明確な契約を交わしていない割合は、10億円以上業者では25・6%、1億円未満業者では54・4%だった。明確な契約の無い契約は、仕事を任される側は不安定な立場となるため歓迎されない。
調査は一人親方に対しても実施した。一人親方が課題に感じていることで最も多かったのは「他業種と比較して賃金が低い」で50%。次いで「もっと請負件数を増やしたい」と「担い手を教育する余裕がない」が同率の41・5%だった。
調査結果は、4月28日の「住宅分野における建設技能者の持続的確保懇談会」で速報値として公表された。大手ハウス・住宅施工会社の住宅生産体制には、施主と元請けが直接契約するかどうかや、元請けが自社のみで施工するかなどで9類型が存在することを整理。大手ハウス・住宅施工会社261社、一人親方94名が回答した。国交省は今後、調査母数を増やすため再度調査を実施し、6月の次回懇談会で確報値を示す方針。調査をもとに9月ごろに議論のとりまとめを行う。
2025.05.16