外国人の不動産取引、宅建業者の役割着目

─自民・安保土地PT、犯収法の活用検討

 自民党の外国人政策本部(本部長=新藤義孝・衆院議員)で、外国人の不動産取引の実態をつかむ方策のひとつとして、宅地建物取引業者の役割が注目されている。同本部の安全保障と土地法制に関するPT(座長=北村経夫参院議員)が、宅建業者が関わる犯罪収益移転防止法に着目。犯収法の仕組みを、不動産購入資金の出どころが外国人かどうかを確認する方法として活用できないか検討を始めた。ただ、宅建業を所管する国土交通省は慎重姿勢だ。

 犯収法は、宅建業者が特定取引(宅建業者の場合は売買契約締結またはその代理・媒介)を行う際に、本人確認など「取引時確認」の実施を義務付けている。マネーロンダリングのおそれがある疑わしい取引は届け出ることも義務。取引時確認は、法人の場合、事業内容や法人の実質的支配者を確認する。PTが着目したのは法人の場合の実質的支配者の確認だ。表向きは日本法人でも、実態は外国人による投機目的購入や、安全保障面で問題がある購入ではないかを把握できる可能性があるとして、活用の検討対象に浮上した。不動産登記簿に国籍欄がない現状で、今あるスキームを総動員して役立てたいとの考えだ。

 犯収法の実質的支配者の確認は申告制で、相手に書類を提出させるなどして精密に確認するものではない。宅建業者がどこまで実務で対応できるかについて国交省は「検討すべき課題が多い」と慎重姿勢だ。規制強化はコスト増にもつながり、経済活動とのバランスも考慮する必要がある。国交省は、従来から宅建業者に犯収法の適正履行に努めてもらうよう、ガイドライン策定などを実施してきた。今後は全宅建業者に犯収法の対応をまとめる「リスク評価書」の作成を求める。

2025.12.12