訪日中国人減少の経済的な影響は限定的

―CBRE、個人旅行増や多国籍化が進む

 シービーアールイー(CBRE)は、中国政府から日本への渡航自粛の呼びかけや日中間を結ぶ航空便の減少などによって、訪日中国人の観光客数が減少した際の影響について分析をまとめた。CBREは、日本の不動産市場で、ホテルなどの分野における影響は限定的にとどまる可能性が高いと予測している。

 そもそも訪日中国人は、旅行手配を個人が個別に行う「個人旅行」の割合が高まっている。かつては「団体旅行」が訪日中国人の5割ほどだったが、直近の25年7~9月期は個人旅行が83・0%と大半を占めるように変化。個人旅行では、政治と自身の価値観・行動などを切り離して考える傾向が強く、日中関係の変化による影響は受けにくいとみている。加えて、これまでの推移をみても、外交関係の影響を受けやすい団体旅行ビザの発給件数が減少した時期であっても、個人旅行ビザは一貫して発給件数が増加傾向だった。こうした点から、今後の訪日中国人客の減少は限定的と分析している。

 また、訪日外国人の国籍・地域が多角化したこともホテルの宿泊需要やインバウンド消費を支えて、訪日中国人客の減少による経済的な悪影響を抑制しそうだ。コロナ前の19年と25年で1~10月までの訪日外客数を比較すると、米国、豪州、欧州は1・5倍以上に増加した。韓国もほぼ1・5倍、台湾は1・4倍へと増加したが、中国は19年に比べて1%の増加にとどまる。欧米豪からの訪日客は、旅行1回あたりの宿泊日数が平均10泊以上と長期間で、日本滞在中の買物代の増加率が、24年10月~25年9月は欧米豪をはじめ各国が中国を上回ったことなども影響するとみられる。 

2025.12.12