三井住友トラスト研、海外不動産投資26・7兆円

―前年から2割増、今後も2ケタ成長へ

 三井住友トラスト基礎研究所は、海外不動産投資の実態調査の結果を公表した。海外不動産投資に携わる企業や年金基金などを対象に、9月1~24日の期間で、面会またはメールでの質問票送付で調査。有効回答を64社(回収率77・1%)から得た。実態調査の集計と各社の開示資料や公表情報に基づく、日本からの海外不動産投資残高は、25年時点で前年比19%増加の合計26・7兆円と推計した。

 投資残高内訳をみると、オフィス、賃貸住宅、分譲マンションの開発や既存不動産の取得・運営など「直接投資」は15・5兆円、不動産ファンドなどを通じた「間接投資」は11・2兆円だった。同社海外市場調査部研究参事の伊東尚憲氏は「日本企業が海外の成長性獲得を図って、戦略的に海外不動産に投資する動きは始まったばかり。今後も5年程度は2ケタ割合で増加が続くのではないか」と見通しを話す。

 調査では、直接投資の投資先の国を聞くと「米国」が74%。次いで「タイ」「豪州」「ベトナム」「英国」。また、海外不動産投資の目的は、事業ポートフォリオの収益性を高める戦略がうかがえる。課題の質問に、1位は「政治リスク・景気変動」で、2位が「人材不足」。今後の投資先の意向を尋ねたところ、「米国」「欧州」が約8割で多く、「英国」も3位に上昇した。今後、投資意向を持つ不動産タイプは「賃貸住宅」「物流・産業施設」が過半数だった。間接投資では「オープンエンドファンド」「クローズドエンドファンド」「海外不動産デット」への投資が多い。投資実行中のエリアは、「北米」が9割を上回ったほか「欧州」「アジア(除・日本)」「オセアニア」がいずれも70%前後だった。

2025.11.28