立地適正化、業務施設等の具体例検討

─国交省、「稼ぐ力」重視し指標設定へ

 国土交通省は、立地適正化制度でまちなかに集約を図る対象に、オフィスなど「業務施設等」を新たに加えるための議論を進めている。有識者による作業部会は、業務施設等の具体例を示した。スタートアップや地場産業を支援するインキュベーション施設に加え、ホテルなど宿泊施設も入った。

 立適制度では、地方自治体がまちなかに「都市機能誘導区域」を設定し、必要な施設を誘導している。誘導施設は、行政、介護福祉、子育て、商業、医療、金融、教育文化の機能がある施設で、働く場である業務機能は含まれていない。人口減少で仕事やまちなかの魅力不足が進み、若者の地方離れは深刻化している。働く場も含めた都市の魅力向上のため、制度を定める都市再生特別措置法の改正も視野に、業務施設等の新規追加を検討している。

 業務施設等に対し重視するのは、まずは創業やイノベーションといった地域の「稼ぐ力」の創出だ。インキュベーション施設やオープンなラボ施設、コワーキングスペース・会議室は、稼ぐ力の創出につながる施設として具体例に示された。次いで、オフィス、研究施設(一般に開放されないもの)や工場・工房、アリーナ、スタジアム等スポーツ施設、文化ホール・劇場、宿泊施設などが入った。

 国交省は今後、実現する政策効果を考慮し、誘導する業務施設等に指標を設定する方針。立適制度は導入から11年が経過した。中田裕人・都市局長は有識者の会合で「人口減少、少子高齢化はもとより外国人労働者も来られ、まちの有り様が変化している。(この議論は)今の時代にふさわしい快適性と機能性を備えたまちにしていくチャンスだ」と語った。

2025.10.31