企業のCRE、3割が収益不動産保有

―ザイマックス総研、管理は自前が8割

 ザイマックス総研は、早稲田大学建築学科の石田航星研究室と共同で首都圏と大阪の上場企業らを対象に企業不動産(CRE)の実態調査を行い、16日に結果を公表した。遊休不動産を保有する企業は約2割、収益不動産を保有ないし賃借する企業は約3割おり、8割弱の企業が不動産管理業務を自社の総務や事業部門などの兼務で内製化していることが分かった。不動産業務を巡る課題では「建物の老朽化・修繕対応の長期化」「維持管理・メンテナンス費用の高騰」を挙げる回答がそれぞれ約4割と最も多かった。

 調査は7~9月に実施。首都圏と大阪市に本社のある従業員300人以上の上場企業らにウェブで回答を依頼し、268件の有効回答を得た。調査では不動産の概況や管理体制、課題などを聞いた。管理する不動産はオフィスが89%と多く、倉庫や工場、店舗などが各20%前後。遊休不動産の80%が更地・空き地だった。

 不動産業務を行う体制は「(自社の)総務、経営企画、事業部門などが兼任」が76%と最も多く、「専門部署または子会社がある」のは13%と少数派。外注している業務は「清掃、設備点検、警備など」が41%、「不動産の売買仲介」が17%など。不動産のKPIで注視する項目は「賃料と維持管理費、経費比率などコスト関連の指標」が44%と最多だった。一方、「特にモニタリングしていない・わからない」も41%おり、確かなデータに基づき不動産を評価・管理する体制がない企業が多いことも判明した。

 不動産の今後の扱いでは「従業員が働く場所の満足度、快適性の向上」が35%で最も多く、他に「拠点の集約・統廃合など」(31%)や「本社機能の見直し」(18%)といった声もあった。

2025.10.23