国交省、集団規定の中長期的な論点整理

─容積率インセンティブ、検討テーマに

 国土交通省は、建物建築基準法の集団規定の今後の方向性について議論を進めている。このほど有識者委員会が論点整理を実施。別途検討されている「建築分野の中長期的ビジョン」への反映を視野に、テーマごとに検討すべき内容を洗い出した。

 建築基準法には、個別の建築物に求める「単体規定」と、建築物周辺に求める「集団規定」がある。単体規定には、構造部材、壁量、耐火構造、採光などの規定がある。集団規定には、接道規制や用途規制、形態規制(容積率や斜線制限など)がある。

 論点整理では、人口減少や空き家・空き地の増加など社会経済情勢の変化を受けて、集団規定が目指すものは「既成市街地の既存建築物の活用・更新への投資を促進しながら安全・良好な市街地環境を実現」と掲げた。各規制の論点のうち、形態・用途規制に対しては、人口減少の進行で床需要の低下が指摘されていることから「容積率インセンティブのあり方の検討(総合設計制度等)、規制緩和の条件としての公共貢献のあり方の検討」が挙げられた。用途規制に対しては、目標水準・工学的性能評価方法の検討と制度・運用の合理化が検討項目になった。環境維持とのバランスを保ちつつ、用途混在を許容する方策も検討する。

 地域性を考慮・尊重した建築物群や街区を実現するための論点も示された。地区計画制度の活用拡大と既存の地区計画を見直すことや、特別用途地区などの既存制度の手続き柔軟化などが今後の検討項目に入った。

 国交省は29年春ごろまでに、10年先を見据えた建築行政の方針「建築分野の中長期的なビジョン」を策定予定。集団規定の論点整理はビジョン検討に合わせ進められた。

2025.10.23