
私募ファンドの市場規模は44・9兆円に
―ARESと三井住友トラスト研、10%拡大と加速
私募ファンドの市場規模は44・9兆円に
―ARESと三井住友トラスト研、10%拡大と加速
不動産証券化協会(ARES)と三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)は共同で実施した不動産私募ファンドの実態調査の結果を公表した。調査では、25年6月末時点で、私募リートやグローバルファンドを含む不動産私募ファンドの市場規模(運用資産額ベース)を44・9兆円(24年12月末時点比10・0%増)と推計した。SMTRI私募投資顧問部長の前田清能・上席主任研究員は「不動産に流入する資金や取得機会の多さから、市場拡大が加速している」と話す。
国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用する155社へ、7~8月にアンケート調査を実施。回答企業数は92社(有効回答率59・4%)だった。SMTRIによる調査は03年12月から40回目、ARESとの共同では22年7月以降7回目。
SMTRIの前田氏は「アジア圏の投資家による積極的な投資が市場拡大に貢献した。米国のトランプ関税が影響した回答は少ない。ただ今後、10年国債金利の2・0%以上への上昇や建築費の高騰で、投資方針の変化の検討がありうる」とみる。調査結果で、投資方針の変化の検討についてトランプ関税の影響は「あった」が4%で、「なかったし、今後も当面ない」が70%だった。金利の先行き不透明感で変化が「あった」は18%、「なかったし、今後も当面ない」が最多の46%。建築費の高騰での変化が「あった」は22%、「なかったし、今後も当面ない」は53%だった。
資金調達の動向を聞くと、エクイティ投資家の投資意欲は、引き続き「変化していない」と捉えている運用会社が多いものの、一部に慎重姿勢がみられた。投資額は「横ばい」が大半。デットによる資金調達も「普通」が多数で、大きな変化はなかった。
2025.09.26