空き家管理・対策コスト推計ツール発表

─国総研、複数シナリオで10年の費用示す

 国土技術政策総合研究所は、「空き家管理・対策に関する効果・コスト推計ツール」を公開した。空き家を持っているとかかるコストを推計する「所有者向け」と、空き家対策を検討・立案するための「市町村向け」の2種類。利用ガイドとともに、同研究所ホームページ内の「住宅研究部住宅計画研究室」のコーナーで公表している。

 今後10年間で空き家の管理や空き家対策にかかるおおよそのコストを把握することができる。所有者向けは、10年間の空き家管理に要する経済的コストについて、▽手厚い管理を継続▽標準的な管理を継続▽管理しない状態を継続▽その他のコスト(解体費等)─といった、シナリオ別に金額規模を比べることができる。所有者は、どのような管理をどの程度実施するのが良いか、具体的な検討を進めることが可能になる。

 市町村向けは、10年間の▽住宅ストックの推移▽空き家対策に要するコスト(経済的・時間的コスト)▽空き家対策の効果(経済的・時間的メリット)▽空き家対策の費用対効果─などを把握できる。どのような空き家対策をどの程度実施するのが市町村にとって適切か、つかむことができる。

 ツールは国総研の「空き家の管理不全化に対する予防的対策効果の定量化に関する研究」がベースとなった。所有者と市町村の立場から空き家の管理不全化を予防する対策の強化が重要として、シナリオ別に比較できるツールの開発を行った。また、「空き家が管理不全化しないために最低限必要となる管理内容(案)」もとりまとめた。

2024.08.30