東京圏の若者世代、地方移住に高い関心

―首都圏白書、懸念は「仕事や収入」首位

 政府は24年度版「首都圏白書(23年度首都圏整備に関する年次報告)」を公表した。首都圏の人口状況は、総人口は75年以降増加が続いていたものの、20年の4450万人をピークに減少に転じ、以降減少傾向が続いている。一方で、東京一極集中の象徴である「転入超過数」(転入者数から転出者数を引いたもの)は、コロナの影響で近年減少していたが、22年には増加に転じた。特に東京への世代別の転入超過は10歳代後半~20歳代の若者が大部分を占める状況だ。

 首都圏白書は「多様化する働き方や暮らし方とアフターコロナの新しい人の流れ」に注目。東京都の子育て世帯(30歳代・40歳代)が首都近郊へ転出する傾向を把握した。コロナ禍を経たライフスタイルの変化(家族と過ごす時間・テレワーク増加)、東京都区部の住宅価格の上昇等が背景にあるとみる。

 また、東京圏在住の全年齢で地方移住に関心を持つ人の割合が高まっていることも分かった。特に、20歳代はその傾向が強い。東京圏在住者で地方移住に関心を持つ人の割合は、全年齢では20年30・2%、23年35・1%に対し、20歳代は20年39・2%、23年44・8%だった。若い世代はテレワーク・地方移住など多様な働き方・暮らし方に対する意識が強く、3年間で更に高まっている。白書は、こうした変化をとらえて地方移住や二地域居住などの取り組みに力を入れる自治体が増えていることも報告した。

 ただ、地方移住で東京圏の20歳代が懸念している点のトップは「仕事や収入」(46・7%)。白書は「若者の地方に対する関心を実現へと後押しするには、地方と東京の間にある、仕事のバリエーションや収入の高低の差が縮まることが重要と考えられる」と記す。

2024.06.28