東京のA級ビル29年まで年平均15万坪弱

―コリアーズ、新規供給の見通しを公表

 コリアーズ・インターナショナル・ジャパンは、25~29年の5年間におけるグレードAのオフィスビルの新規供給見通しを公表した。東京都心5区の年間平均供給量は14万8000坪(20~24年比2万坪増)と、過去5年間より増加する見通しだ。リサーチ責任者の川井康平氏は「都心で既存ビルのまとまった床が消化され、大企業の需要は新築ビルに向かう。当面は市況が崩れる可能性は低い」と予測する。

 川井氏は、東京のオフィス需要の背景に「人員の増加を見込んだ先行的な需要が多い」として、一般で募集する前に館内増床で決まる事例の増加や、働き手にとって中広域からアクセスしやすいJR山手線の東京駅から品川駅の間などで立地の厳選が進んでいる傾向という。また、「25年度の新規供給物件で竣工6カ月前時点の内定率は、中央値で7割程度。ここ数年より早い」とする。内装工事の長期化などを見越して、既に27年度に竣工予定の大規模物件の床の募集も始まっている模様だ。一方で、23年に竣工した物件の契約テナントで移転が完了せず従前のオフィスにとどまっている事例など顕在化していない二次空室もあるとみて、今後の動向には注視が必要とみている。

 他の国内主要都市における供給見通しでは、大阪市は梅田エリアの大規模な開発が一服して今後は淀屋橋など御堂筋エリアが中心となり、年平均は1万3000坪(1万9000坪減)に減少とみている。福岡市は、天神エリアの再開発誘導による供給で増えた床を消化していく段階に入ることや、開発の軸足が博多エリアに移っていくことから、新規供給の年平均は8000坪(1万2000坪減)とする。

2024.12.27