マンション長寿命化工事の工夫点を紹介

─住金機構、先輩管理組合に取材し冊子化

 住宅金融支援機構は、高経年マンションの長寿命化を目指すマンション管理組合向けの冊子「性能向上工事を進める際の工夫点」を公表した。定期的な大規模修繕とは異なる性能向上工事について、既に行っている「先輩」である管理組合に、ノウハウを取材。概ね築40年以上のマンションを対象に、耐震改修工事、省エネ改修工事、給排水管設備の改修工事などの事例紹介を行っている。

 冊子は、大規模修繕工事との相違点を踏まえた性能向上工事のポイントとして、①マンションの将来ビジョンの策定②資金計画の検討と長期修繕計画の見直し③管理組合内部の体制づくり④専門家の活用⑤専門家・施工会社を選定する際の透明性⑥合意形成を行う上での手続きの透明性─の6点を挙げた。性能向上工事が必要となるきっかけから、将来ビジョン作成、合意形成、工事の振り返りまでのフローチャートも示し、各ポイントを説明する。

 随所で「先輩管理組合からの声」を紹介する。資金計画の部分では、修繕積立金を値上げしたケース、借入を行ったケースのそれぞれの声を紹介。また、特に難航しやすい合意形成の部分では、「最初から対面で意見交換をしなかったことが良かった。アンケートで意見を見える化して、違う意見があることを知らせることから始めた。アンケートをとるうちに提出率も40%台から80%台に向上した」などの声を紹介している。

 冊子は、高経年マンションの課題解決に向けた取り組みを行っている「マンションの価値向上に資する金融支援の実施協議会」の検討内容を、機構がまとめた。機構ホームページでダウンロード可。

2024.12.13