国交省、中小不動産業者のDX後押し

─経済対策、導入体験業者を選定し実証へ

 国土交通省は、中小不動産業者のDX活用を後押しする。大手業者や先進業者の間では、不動産取引でのデジタル技術活用が進んでいる。一方で、中小業者は費用の問題や人手不足などで、なかなか導入が進まないのが現状だ。国交省は、中小業者に不動産取引業務でデジタル技術を体験してもらう実証事業を25年度に始める。中小業者へのDX普及の阻害要因を整理し、不動産業界全体のDXを進める。

 実証事業は、22日に閣議決定された経済対策の一環で行う。国交省が活用してもらいたいデジタル技術を選び、10社程度の中小業者を公募で決める。デジタル技術は、生産性の向上が見込まれる観点から、「媒介業務を含む不動産取引に関連するもの」と、「付随する各種手続き」から選定する。取引関連は、価格査定、マッチング、内見、書類作成などを想定。手続き関連は、ローン・保険の契約、管理関係の手続き、上下水道などインフラ関連手続きのデジタル技術を選ぶ。技術選定数は未定。体験する中小業者の費用負担はない。

 法整備の進展で、IT重説と書面電子化が解禁され、不動産取引はデジタル完結が可能になった。ただ、23年10月の国交省の調査では、導入割合はIT重説18%、書面電子化は11%にとどまる。実証事業の対象技術にIT重説と書面電子化は含まれていないが、場合によっては含めることも検討する。

 国交省は、地方の不動産業者の減少に危機感を抱く。業者数は、全体では10年連続で増加し約13万業者(23年度末)となった。一方で1747市区町村のうち不動産店舗がゼロの自治体が247自治体ある。中小業者へのDX普及を重視するのは、DXで生産性の向上を進め、担い手の確保に繋げるねらいがある。 

2024.12.06