都心で年20万坪以上のビル供給が頻発へ
―三井住友トラスト研、情報系は新築入居の有望株
三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)は、東京都心5区で主要大企業の本社オフィスの立地状況を分析したレポートを公表した。今後の開発計画の情報などに基づいた分析では、25年は都心5区に20万坪超のビル供給が予定され、26年、27年は20万坪を下回るが、28年以降は3年連続で20万坪以上の供給がある見込みと将来を予測。レポートでは「大量供給年の頻度は2年に1度のペースとなる見込み」とした。
18年以降に指定された国家戦略特区の影響などで大型開発プロジェクトが増加しているため、今後は大量供給の頻度が上がるとみている。また、従業員数が3000人以上や資本金100億円以上といった条件を満たす国内企業の約800社を「主要大企業」と位置付けて抽出したところ、東京都心5区内に本社を持つ主要大企業は約400社だった。その内4割程度が24年の調査時点で本社オフィスを構えてから11年以上を経過しており、今後の大量供給では新築ビルに移転を検討する可能性があると捉えている。特に、都心5区に本社を持つ約400社の主要大企業のうち、00年以前に竣工したビルに本社のある企業は136社と約3割。そのため、レポートでは「人手不足が続く中で、優秀な人材を獲得するために高機能なビルへの移転を検討する可能性は相対的に高い」とみている。
業種別では、SMTRIの他の調査によると18年以降に竣工したビルの業種別構成割合(床面積ベース)は、情報通信業が25%を占めるなど、「近年竣工した新築ビルの主たる入居企業」という。一方で、情報通信業も入居年数11年以上が約4割となっており、新築ビルの大量供給に当たっては、これらの企業の本社移転需要は注目点となる模様だ。
2024.10.25