中大規模木造建築物の維持管理で情報提供

─国交省、建築主向けのパンフレット公表

 国土交通省は、中大規模建築物への木材利用を促進するにあたり、建築主向けパンフレット「中大規模建築物に木材を使用する際に知っておきたい維持保全・維持管理の考え方と設計等の工夫」を公表した。建築物の木造化・木質化の検討で、懸念となる経年劣化と維持管理方法、コストなどについて情報提供する。

 従来、中大規模建築物には、防火上の規制から鉄筋コンクリート造や鉄骨造が選ばれてきた。国は建築物の脱炭素化を進めるなかで、炭素貯蔵効果のある木材の中大規模建築物への利用に着目。建築基準法関連法令の改正による規制の合理化や、補助事業などを通じて、木材利用を後押ししている。一方で、木造建築物の維持保全や維持管理の方法を示した情報の蓄積は少ない。

 パンフレットは、木造化に取り組むにあたり懸念とされる木材利用部分の維持保全・維持管理について、設計時・発注時に建築主として知っておきたい留意点や、コスト低減につながる設計の工夫をまとめた。対象とするのは、低層を含む4~5階建て程度の非住宅用または共同住宅。構法・耐火要件にかかわらず、躯体や内装材、外装材に木材を利用する場合の一般的な維持保全・維持管理の考え方を示した。

 参考情報として、木材を利用した場合のコストシミュレーション例も掲載する。RC造の事務所(4階建て+塔屋、延床面積約3000㎡)を内装材、外装材を木質化した場合の建設コストは、木質化しない場合と比較して総額で+1・5%程度の増額だった。パンフレットは設計者向けの「技術情報資料編」もセットで、国交省ホームページからダウンロードできる。

2024.10.25