三井ら、神宮外苑開発説明会に199人
―反対は少なく、「外苑への愛情感じた」
東京・神宮外苑地区の再開発を手掛ける事業者らが9月28日、近隣住民向けの説明会を都内で開いた。新宿・港両区の住民ら合計199人が参加。代表施行者の三井不動産が伐採樹木を減らして植樹を増やすなどの変更案を説明した。会合では高層ビル整備による強風と日照への影響を懸念する声や、民主的な開発手続きなどを求める意見が出た。初めて説明会に参加したという女性は、丁寧な合意形成作業を事業者に注文する一方、「この質疑で(事業者らの)神宮外苑への愛情を感じ、参加して本当に良かった」と述べた。三井不らは当日の意見も踏まえ環境影響評価調査計画書の変更届けを都に提出し、審議を経て工事を順次再開する。
都の条例などに規定されない、事業者による任意の住民説明会は昨年7月に続き二度目。今回は会場の収容人数の関係で午前、午後に分け合計600人まで参加者を募り、キャパの3割強が来場した。質疑では事業者に対し「施設を(住民らと)一緒に作るプロセスが最も大切だ」と対話の重要性を強調する意見や、高層ビル整備の必要性を問う声などが挙がったが、開発事業そのものに異を唱える参加者は少数だった。
明治神宮の担当者は「高層棟ありきの計画なのか」との質問に対し、内苑を保持する上で重要な外苑の収益のうち、7割近くを神宮球場が担っているとの実態を提示し、「開発を前に進めることで長きにわたり明治神宮を保持していきたい」と回答。三井不の開発担当者は老朽化したスポーツ施設などを公的資金に頼らず更新する事業の意義を改めて説明。緑化計画などの微修正は視野に入れつつもハード面の大規模な計画変更はないとし、「内苑と外苑を守るには、いま開発に着手しなければならない」と参加者に理解を求めた。
2024.10.10