都心部のオフィスは回復局面で拡張意向

―三幸とニッセイ基礎研、DI堅調な水準

 三幸エステートとニッセイ基礎研究所は、24年上期(1~6月)の「成約事例で見る東京都心部のオフィス市場動向」を公表した。第1・第2四半期(1Q・2Q)のオフィスの拡張移転DIは、ともに69%と堅調に推移した。調査では70%を上回ったコロナ禍前の水準に及ばないが、「回復局面」とみている。1Qと2Qのオフィス成約面積は合計45・9万坪(前年同期比6・3%増)。新築ビルの供給減少から未竣工ビルの成約面積は6・4万坪(25・3%減)だったが、竣工済みビルは39・5万坪(14・1%増)と2ケタ増で「リーシング活動は一層活発化」とした。

 調査では24年7月の空室率が4・42%まで低下。市況が絶好調だった19年には至らないが「底堅いオフィス需要は継続しており、オフィス市場は回復局面に入った」とみている。ビルクラス別にオフィス拡張移転DIをみると、Aクラスで68%、Bクラスは76%、Cクラスが74%と概ね70%近くで、ビルの規模によるオフィス需要の差異は、縮小したと分析している。好調な企業業績を反映して、オフィスの拡張ニーズは幅広い企業でみられるようになったという。

 主な業種別のDIは、製造業と不動産業・物品賃貸業が最も高く75%、卸売・小売業が72%、学術研究・専門/技術サービス業が68%、情報通信業が61%で円安などによる好業績から「直近ではオフィス需要が急回復」したとする。また、製造業ではオフィスを「拡張」する意向が55%と前期の23年下期に比べて8㌽も上昇し、「縮小」は5%と前期から21㌽も下落。縮小移転の割合は、コロナ禍前を下回った。

2024.09.13