国交省、木造住宅の安全確保マニュアル
─耐震改修できない場合の対策も盛り込む
国土交通省は、「木造住宅の安全確保方策マニュアル」をまとめた。24年能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、甚大な被害が発生した。多くが高齢者世帯の地域では特に住宅の耐震化率が低かったことから、資金不足や動機不足などが背景と考えられる。マニュアルは、本格的な耐震改修が行えない場合でも、地震からのリスクを低減する方策を紹介する。
マニュアルは、住宅所有者に耐震化の必要性を理解してもらい、耐震診断の実施と耐震改修につなげるのがねらい。耐震診断への補助や耐震改修資金に対する融資、税制特例など、耐震化の支援制度を紹介する。ただし、やむを得ない場合もあるとして、暫定的・緊急的な人命確保の方策を講じて、地震のリスク低減を図ることも重視する。
やむを得ない場合の暫定的・緊急的な対策としてマニュアルは、①段階的な耐震改修工事②部分的な耐震改修工事③命を守るための家具等の導入④命を守るための住まいの工夫─の4つの分野に分けて解説する。
①では、最終的には住宅全体を耐震改修することを前提としつつ、当面の措置として、耐震基準に満たない水準で補強する場合の留意点を挙げる。②では、主たる居室・寝室の構造部分のみの補強や、屋根の軽量化のみなど、住宅の部分的な改修を提案。③では、住宅の構造部分などの改修工事までは行わず、耐震ベッドや耐震テーブルを導入する方策も提案する。④では、住宅の工事をしない場合の住まいの工夫として、2階建ての場合に主たる居室・寝室を2階にするなど、万が一建物が倒壊した場合の地震のリスクを低減する提案を行っている。
2024.09.06