オフィス賃料は東京底打ち、大阪で上昇
―三菱UFJ信、7月から5年間の予測
三菱UFJ信託銀行はこのほど、東京と大阪のオフィス市場予測を公表した。7月時点から28年までの東京の市場に関する動向は、短期的に空室率の低下が続いて5%台を保ち、25年の20万坪超の供給があっても市況が崩れる懸念は大きくないと見込む。中期的には労働力人口が減少へ転じるため需要が増えにくくなり、6%程度まで上昇するとした。賃料は24年に底打ちして緩やかに上昇するがコロナ禍前の水準へは戻らない見通しだ。大阪では、24年から25年に大きな供給が続く予定だが空室率の上昇は一時的で、新規賃料は28年までの5年間で3%強の上昇と予測した。
東京でのオフィス需給は、景気回復の影響から企業収益の改善や設備投資の拡大が続いて短期的に雇用改善に向かい、空室率が低下するとした。中期的には、少子高齢化による労働力人口の減少と賃料の緩やかな上昇がオフィス需要を下押しして、26年から27年に供給量が控えられる状況が続くなど今後5年の年平均は約14万坪で、供給量は大きくない見通しだ。ただ、竣工想定時期が後ろ倒しにされるビルなどが一部にあり、29年の新規供給は30万坪近い可能性もあると予測では指摘する。また、27年からは直近で低下を続ける空室率が再上昇に転じると見込んでおり、賃料はコロナ禍前までは戻らないとみている。
大阪のオフィス需給は、24年の新規供給が90年以降に最大の8・6万坪で、25年も4万坪超の大型供給が続く見込み。空室率は6%近くへ2㌽近い上昇が避けられない一方、26年以降の供給量が限定的で、28年にかけて4%程度への低下を予想。そのため、賃料上昇の流れは今後5年にわたって途切れないとした。
2024.08.02