長期空き家で経済損失1・5兆円の試算
―空き家コンソーシアム、2年以内なら損失みられず
建設テックのクラッソーネが代表理事の全国空き家対策コンソーシアムは、東京大学連携研究機構不動産イノベーション研究センター(CREI)と連携して、空き家が周辺地域に及ぼす悪影響に関する勉強会を、19日に開催した。人口規模で3万~4万人以上の住宅街で、4年以上続く長期空き家が1件発生すると、周辺50m圏内の地価が3%下落する影響がみられた。そのためコンソーシアムは、全国で長期空き家が10万件増えた際の経済損失を1・47兆円、生活の質(QOL)の低下を感じる周辺住民は290万人と試算した。
コンソーシアムは、市場価値があり、適切な管理が期待され、多様な利用の可能性や権利調整も適切に行われる地域として、3万~4万人以上の住宅街で重点的に対策を行っていくことで損失を減らせるとみている。紹介された研究では、1~2年以内に解消される空き家は、周辺に悪影響がなかった一方、4年以上も続く長期空き家は、約50mの範囲に悪影響を及ぼし、1件の増加で取引価格に3%の下落がみられた。そのため空き家対策として、長期化させず、周辺地域の状況も補助制度を適用する際に加味して判断すべきとした。半径50m以内に一定数以上の住民が住んでいる場合の管理不全空き家には補助金を増額することや、固定資産税減免措置の改変、所有者不明空き家情報の公開や公民連携の空き家相談窓口の強化などを提案した。
今後、コンソーシアムとして空き家の解体や利活用によって、周辺にもたらす空き家の悪影響解消の因果関係や、土地の利用方法による好影響の可能性を検証する。民間企業群による空き家のワンストップサービスの提供に加えて、空き家所有者に啓発活動や公民連携のサービス提供を行っていく。
2024.04.26