Jリートの含み益5・5兆円で過去最高

―SMTRI、23年下期は売却益3百億

 三井住友トラスト基礎研究所は、23年下期(7~12月)のJリートレビューを公表した。対象銘柄の中央値を取ると、分配金の成長率は前年同期比+3・0%増(前期比1・0㌽増)だった。コロナ禍前の19年下期比で+1・8%。ホテルの収益回復や売却益増加が影響した。1口当たりNAVの成長率は前年同期比+1・9%(0・7㌽減)で、19年下期比は+10・8%だった。鑑定評価額で、住宅や物流施設の上昇率は鈍化したが、オフィス、商業は概ね横ばい。コロナ禍で下落したホテルは回復傾向だった。

 不動産売却益は合計301億円(19%減)だった。全銘柄の約半数で売却益の計上があった。含み益は5・5兆円(0・2兆円増)、含み益率は26・2%(0・3㌽増)でともに過去最高の更新が続いた。内部留保残高は合計1688億円で内部留保を持つ銘柄は約6割。全銘柄のポートフォリオNOI利回りは平均4・7%で前年同期と同じ。稼働率はオフィスで95・2%(増減なし)、住宅で97・0%(増減なし)。

 23年下期の物件取得額は合計で約4900億円と前年同期と同水準だった。物流施設が減少したがホテルが増加した。取得額の約6割がスポンサー関連から。平均NOI利回りは4・5%で前年同期比0・3㌽増だった。物件譲渡額は約1200億円に減少。オフィスが減少した一方、物流施設はやや増加した。

 12月末のLTVは平均47・4%。公募増資は合計9件、調達額は1354億円(66億円増)だった。24年上期の予想をみると分配金の成長率は前年同期比+0・3%だった。売却益の想定額は309億円で、46%の銘柄で計上を想定している。

2024.04.05