老朽マンションの性能向上工事に手引き
―住金機構、管理組合のノウハウまとめる
住宅金融支援機構は、高経年マンションの管理組合向けに「(仮称)性能向上工事の進め方に関する手引き」を作成する。今夏に公表予定。マンションの最初の大規模修繕と、最終的な建て替えとの間に来る「大規模な性能向上工事」の課題を整理し、取り組みやすくする。長寿命化工事とも呼ばれる大規模な性能向上工事は、まだ事例が少ないことから、実際に行った管理組合にヒアリングを実施。大規模修繕との進め方の違いや、経験した管理組合のアイデア集となる。
マンションは経年により、耐震改修工事や給排水管の全面交換といった大規模な性能向上工事を行う必要が出てくる。築40年以上になって、漏水など不具合が発生したことをきっかけに検討が始まることが多く、長期修繕計画の予定にない場合が多いのも特徴だ。
機構は「大規模修繕とは異なる課題があるのではないか」という問題意識から、性能向上工事を実施した16の管理組合にヒアリングを行った。ヒアリング対象となったのは、国土交通省の補助事業「マンションストック長寿命化等モデル事業」に採択された管理組合。ヒアリング内容をもとに、「手引き」は大規模性能向上工事の検討の体制づくりから、資金計画の試算例も紹介する。先行して取り組んだ管理組合の工夫点をまとめて広く周知し、性能向上工事を推進していく。
手引きは、機構が事務局を務める「マンションの価値向上に資する金融支援の実施協議会」が作成する。協議会は19年度設立。20年に発表した、平均的な修繕工事費用をウェブで確認できる「マンションライフサイクルシミュレーション」は、直近1年間(23年3月~24年2月)で月平均1777件のアクセスがあり、同453件のシミュレーション実行実績がある。
2024.03.22