人流データの実証事業、選定3市が報告
─国交省、分析で駅周辺の不動産課題解決
国土交通省は、不動産分野で人流データを活用して地域の課題を解決するための実証事業を進めている。2月に、実証地域に選定されている東京都東村山市、さいたま市、鳥取市が参加した成果報告会を開催した。人流データを分析し、不動産活用やにぎわい創出につなげようとする各市の取り組みが共有された。
東村山市は、東村山駅周辺の再整備に合わせた公共空間の最適化に向けた取り組みを発表。人流データ分析で、駅周辺の既存公共施設は若い世代の利用度が低い傾向や、通勤で人の流入が一定程度あることを把握した。若い世代に関心が高いコンテンツ発信や、駅周辺勤務者向けの託児サービスなどを検討していく。
さいたま市は、浦和美園駅周辺の商業ニーズを人流データから分析した。将来分析では、新設の大学病院の開業を加味したシミュレーションを行っている。必要な施策について、駅周辺の地権者や不動産業者と分析結果を共有して、意見交換の場も設けた。参加者からは「医療機関開業に合わせて域内交通手段の充実化を進めて欲しい」との意見があり、市の担当者は具体的な方向性について手ごたえを得た。
鳥取市は、人流データから中心市街地の住民行動パターンなどを分析。勤務時間帯の通過者の立ち寄り・回遊をターゲットとした不動産活用や、買い物から食事への導線づくりによる20歳代・30歳代の行動パターンに合わせた店舗来客増加とエリア価値向上を進める。
国交省・政策統括官付情報活用推進課の矢吹周平課長は「人流データはもっと価値をもたらしうるのではないか。どう政策に織り込んでいくか緒に就いたばかりだが、考えるきっかけになれば」と語った。報告会には現地・オンライン合計で約250人が参加した。
2024.03.15