不動産投資額は「現状維持」が4割超

―SMTRI、年金基金と機関投資家動向

 三井住友トラスト基礎研究所は、不動産投資に関する調査の結果を公表した。23年11~12月にかけて年金基金162、機関投資家等137にアンケートを郵送し、年金基金46と機関投資家34から回答を得た。今後の不動産投資の方針を尋ねたところ、「現状の不動産投資額を維持する予定」の回答が、年金基金で43%(前年比4㌽増)、機関投資家で50%(12㌽増)となり、それぞれ最多だった。

 不動産投資について積極的な姿勢となる「実行する/増やす予定」や「投資検討すべき投資対象の1つ」とする回答は、年金基金、機関投資家のいずれも減少した。特に機関投資家では、12年の調査開始から最少の32%(6㌽減)だった。ただし、「不動産投資を減らす予定」の回答は無く、「当面は現状水準以上での不動産投資額が想定される」とみている。

 今後に行う不動産投資の対象を質問すると、「国内不動産を対象とした私募ファンド(オープンエンド型)」について、年金基金では37%(15㌽増)と大幅に増加して最多。機関投資家でも16%(10㌽減)で最多だったが、回答割合は大きく減少した。調査では、海外不動産市場が価格調整局面にある影響で「年金基金は国内投資回帰の傾向を強め、機関投資家は一部が市場調整後の再成長を期待」と分析した。

 オルタナティブ投資の実績を聞くと、年金基金の91%、機関投資家の88%が残高を保有。投資対象は「不動産」の回答がどちらも最多だった。不動産投資の理由に、「分散投資効果」や「安定的なインカムゲインの確保(分配金)」の回答が多かった。不動産投資で必要なことは、年金基金で「十分な情報開示」、機関投資家は「一定の流動性の確保・向上」だった。

2024.03.08