かたちを変えて続く地面師事件
―空き家増加やオンライン取引で注意
住宅・不動産系の大手企業であっても相次いで多額の被害を受けた地面師事件。企業側が対策を進めたほか、大物地面師らは逮捕され、以前のような大掛かりな事件は鳴りを潜めたようでもある。だが、不動産は高額なだけに、詐欺師らとって格好のターゲットであり、なおかたちを変えて地面師事件は続いているといえる。高齢者や空き家の増加に加え、不動産のオンライン取引も普及してきており、環境の変化に応じ、不動産にかかわる際には注意する必要がある。
地面師事件に詳しい法曹関係者によると、それぞれの役割を演じる地面師グループをまとめ上げるためには、「相当な人間力が必要とされる」という。地面師リーダー格が逮捕されたことで、それに代わる人物は「そうそういない」(同)ことから、大掛かりな事件は途絶えた状態にあるとみられている。一方で、本人確認証や証明書などを仕立て上げる「偽造技術」は、年々進化を遂げており、本人確認のプロであるはずの司法書士でさえ見抜けないケースがあるとされる。不動産の契約段階では、表面化しないところで数百万~数千万円レベルの手付金詐欺もみられ、「プチ地面師」らが暗躍しているといえる。
背景の一つが高齢者や空き家の増加。高齢者に擦り寄って不動産をかすめ取ったり、不動産商品をうたった投資勧誘も少なくない。また、空き家や空き地を舞台とした数千万円級の不動産詐欺も報告されている。売り主に会えなかったり、「グズグズしていると他に取られる」といった常套句で支払いを急かされるようなら要注意といえる。さらに、不動産のオンライン取引も普及してきたことで、非対面の取引に違和感がなくなりつつあることが犯罪のハードルを下げる方向にある。取引のプロである不動産事業者でさえ、警戒は怠れない。
2024.12.27