パリ五輪、新規施設は3件と選手村のみ

―既存施設や仮設で対応、「建てない」流れへ

 2024年夏のパリオリンピック。スタジアムから抜け出し、セーヌ川を下る史上初の水上開会式や都市のランドマークを競技場に変えた特設会場が話題を呼ぶ一方、新たに建設した施設(恒久施設)は最小限にとどめ、既存施設の活用や仮設の特設会場の設置により、「建てない」オリンピックの流れをつくり出したことも評価されている。

 パリ五輪で新たに建設されたのは、パリ市内でバドミントン会場の「アディダスアリーナ」、パリ郊外でスラム地区を再開発したアクアティックセンター(水泳競技場)など計3件と選手村(宿泊施設など)のみ。あとの40近い競技会場は、メインスタジアムの「スタット・ド・フランス」をはじめとする既存施設と、エッフェル塔前やコンコルド広場をスケートボードやブレーキンなどの競技場とした仮設の特設会場で対応した。大会経費は、施設に費用をかけないため、約90ユーロ(約1・5兆円)にとどまるとされ、約1・7兆円となった前回東京大会を下回る。

 東京もコンパクトな大会を謳っていたが、当初、新規施設11件を見込み、最終的には7つの会場を新規建設するに至った。新たな施設は、東京アクアティクスセンターや有明アリーナなど、湾岸エリアが多かったが、最大の施設は、国立競技場を建て替え、大会のメインスタジアムとした新国立競技場である。大会後の運営・資金回収が問われる新規施設だが、東京の新国立競技場はここにきてようやく民間の運営事業者が決定したところである。これに対し、近代五輪をつくったフランス・パリは、施設を「建てない」という新たな流れをつくり出したといえる。パリの次となるロサンゼルスも既存施設を活かし、「建てない」五輪を表明している。

2024.08.02