超円安、訪日客は過去最高水準
―インバウンド不動産需要も復活
訪日外国人数は3か月連続、過去最高水準の月間300万人超えとなった。このままいけば、過去最高だったコロナ前年の2019年(3188万人)を上回る見通し。5月は前年同月比60・1%増の伸び。コロナ禍で途絶えた観光需要が完全復活したことに加え、歴史的な円安が影響したとみられる。各国の物価状況を表す「ビッグマック指数」をみても、米国やユーロ圏のビッグマック単品5ドル台後半(円換算約900円)に対し、日本は3ドル(約500円)と半額近い安さとなる。
SNSの作用で思わぬところにインバウンド客が現れているといった情報が出回る一方、メインは、相変わらず東京・大阪・京都の「ゴールデンルート」であり、オーバーツーリズム問題を引き起こしている。併せて、人手不足で客室があっても受け入れられない事態にもなっている。
政府は2030年、訪日客6000万人を掲げ、あと5年もすれば、いまの倍となるインバウンドを日本中に呼び込もうとしている。最近、東京・豊洲では、1万5000円の海鮮丼や1万8000円のウニ丼が登場。「外国人価格」「二重価格」があっても良いといわれ始めている。
訪日客が押し寄せる中、コロナ禍で途絶えたインバウンドの不動産需要も復活した。かねてから世界主要都市の中で東京、大阪は割安であったほか、低金利政策が続けられ、しかもここにきて超円安局面となったことが後押しする。インバウンド層の購入は、低額帯から超高額帯まで幅広いが、メインは1億~数億円のマンション。都心マンションは、価格高騰でパワーカップルの購入に息切れが懸念されるが、それに代わる購入主体としてインバウンド層が見込まれている。既に、都心・中古億ション購入の一定割合がインバウンドとされており、訪日客の増加も相まって、インバウンド需要は拡大していくとみられている。
2024.06.28