上昇地点の割合、コロナ前比で大幅増

―東京の住宅地、中野周辺が軒並み上昇

 5月8日のコロナ5類移行からの経済正常化を受け、23年都道府県地価調査(7月1日時点、調査地点2万1381地点)は、地価の回復が全国的に進んだ結果となった。上昇・横ばい・下落の地点割合(表)をみると、地価が上昇傾向にあったコロナ前の19年調査と比較して、全国の全用途・住宅地・商業地は、全て上昇地点が19年を上回った。回復の勢いが加速していることを示すこの傾向は、大都市ほど顕著だ。東京圏は、23年の上昇地点の割合が、全用途、住宅地、商業地の全て、三大都市圏の中で最も高い。

 東京圏の住宅地で上昇が目立つエリアは、東京・中野区の中野駅周辺だ。駅の象徴だった中野サンプラザの建替え((仮称)中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業、28年竣工予定)をはじめ、駅の南北で大規模な再開発が29年頃まで続く。「中野-11」(22年+5・6%→23年+6・4%)など、中野駅周辺の住宅地はいずれの地点も上昇した。

 東京23区全体の住宅地は+4・2%(22年+2・2%)となり、全ての区で上昇率が拡大した。特に上昇率が高かったのは、豊島区+6・2%(+3・3%)、文京区+6・1%(+2・9%)、品川区+5・5%(+2・9%)、荒川区+5・5%(+3・2%)。

 国交省は、3月の地価公示を含めて、住宅地の地価が上昇する際は、その要因にこれまで「低金利環境」を調査資料で挙げていた。今回の都道府県地価調査で住宅地は上昇したが、低金利の文言は消えた。地価調査課は「低金利下であるという認識は変わっていない」としつつ、「変動金利は上がっていないが、固定金利が上がってきている。そのため積極的には資料に書かないようにした」と説明する。住宅ローン金利の動きが地価調査からも見て取れる。

◎商業地はオフィスより店舗の回復先行

 東京圏の商業地は店舗需要の回復が顕著だ。新宿の繁華街が横ばいを脱し、上昇に転じた。歌舞伎町の「新宿5-1」は+6・9%の上昇(22年は横ばい)。同じく新宿駅東側の「新宿5-2」も昨年の横ばいから+4・4%になった。一方で、オフィス街の回復はまだ鈍い。同じ新宿で西側の高層ビル街にある「新宿5-13」は+0・8%(+0・8%)で、上昇は維持したものの店舗需要主体の東側ほどの勢いはない。日本有数のオフィス集積地の大手町・丸の内界隈は、「千代田5-24」(△0・4%)、「千代田5-1」(△0・4%)がともに横ばいに戻したが、プラスには至らなかった。同じ東京駅周辺でも店舗需要が中心の「中央5-7」は+2・8%(△0・2%)へ、「中央5-8」も+1・3%(△0・7%)へと、プラスに転じた。オフィスより店舗の回復が先行している。

2023.09.29