地価LOOK、3四半期連続で下落ゼロ

─国交省、住宅地上昇・東京の商業横ばい

 国土交通省は、23年第2四半期(23年4月1日~7月1日)の地価の先行動向「地価LOOKレポート」を公表した。全国の主要80地区のうち、上昇は74地区(前回73)、横ばい6地区(7)、下落はゼロだった。下落地区がゼロとなるのは3四半期連続。東京の商業地を除いて地価の回復が継続した。

 変動率区分でみると、「6%以上の上昇」は1地区(福岡市「大濠」=住宅地)、「3~6%の上昇」は1地区(京都市「京都駅周辺」=商業地)、「0~3%上昇」は72地区、「横ばい」は6地区だった。変動率区分に動きがあった地区は、「横ばい」から「0~3%上昇」に転じた地区が2地区。ともに商業地で、長野市「長野駅前」と熊本市「下通周辺」。長野駅前は店舗・観光需要の回復、下通周辺は新たな商業施設の開業による繁華性上昇への期待から上の区分に移った。「0~3%上昇」から「横ばい」に転じたのは商業地の東京・江東区「青海・台場」。インバウンドの回復を受けた前回の上昇から状態が変わらず継続したため。

 住宅地は23地区全て上昇。商業地含め唯一の「6%以上の上昇」となった「大濠」は、九州でも有数の優良マンション供給地区。取引価格の上昇が顕著で、地価動向も上昇した。建築費の上昇分をそのまま販売価格に転嫁しても需要が衰えないエリアになっている。

 「横ばい」の6地区は、全て東京圏の商業地。日本有数のオフィス街「丸の内」、「有楽町・日比谷」「品川」が含まれている。これらについて国交省は「オフィスの大量供給の予定があるため、賃料は弱含み。一方、持っておくのは有望と考える投資家どうしで競争が起きていて、取引利回りはわずかに下がっている。この傾向は前回から続いている」と話す。

2022.09.01