私募ファンドのサステナビリティを後押し

―みずほFG、独自のフレームワークを開発

 みずほ信託銀行は、「みずほグリーン不動産ノンリコースローン」及び「みずほサステナビリティ不動産ノンリコースローン」の取扱いを開始した。従来、不動産に関するサステナブルな取組みに対する評価は、評価機関による認証が主であった。今回の試みは、金融機関が独自のフレームワークを策定し、サステナブルな取組みに対して評価と融資の両方を行う点で新しい。同行では今後も、一定の需要があると見て商品の充実を図り、環境への負荷軽減を定量的に評価する仕組みを検討するなど、サステナブルな取組みを後押ししていく。

 「みずほグリーン不動産ノンリコースロ-ン」及び「みずほサステナビリティ不動産ノンリコースローン」は、2022年10月からみずほ銀行によって取扱いが開始された。すでに国内で8案件・800億円規模で契約が締結されている。同商品は、不動産ノンリコースローンを主な資金調達手法とする私募ファンドに対し、サステナブルな取組みを後押しすることが目的。同行では、グリーンローン原則とソーシャルローン原則の趣旨に準じて、みずほフィナンシャルグループが掲げるサステナビリティ重点項目を加味したフレームワークを開発した。その評価項目を用いて、同行が借主の不動産におけるサステナブルな取組みを評価する点が、既存のグリーンローン等と異なる。

 評価項目は、“安心・安全・便利な社会”、“価値創造”、“経済発展”、“環境保全と持続可能な社会”“ステークホルダーの取組み”の大きく5つ。対象となる不動産が、5つの評価項目のうち3つ以上を充足していれば、同商品の対象として融資を行う。同商品は、大手不動産鑑定機関からの助言を受けて策定し、格付投資情報センターよりセカンドオピニオンを取得した。また、評価を得るための新たな手数料などは設定せず、通常のノンリコースローンと同等の費用負担としている。一方で、運用する物件が複数ある場合、フレームワークに則って行う融資が評価項目を充足していない物件へ充当される可能性がある。同行不動産ファイナンス営業部の石川純調査役は、「各種原則では、調達した資金は全額対象プロジェクトに充当される必要があるが、複数物件を対象とした案件も相応にあるため、契約段階で資金使途を明確にする等により柔軟な対応を検討したい」と述べた。

 これまで多くの私募ファンドは、サステナビリティの取組みについてコストバランスを慎重に検討してきた。しかし、投資家は運用する資金がサステナビリティに貢献していることを重視する傾向が年々強まっている。そうした声や先行する欧州の事例も踏まえ、同行では国内でも一定の需要があると見ていち早く新たな商品の取扱いを開始した。

2024.02.02