都心ビルの総合収益率、5期連続で上昇
―不動研、金利上昇の投資家想定も調査
日本不動産研究所は、オフィスビルのインカム収益率とキャピタル収益率を合わせた「総合収益率」(23年6月時点)を公表した。東京都心5区の総合収益率は8・18%で、22年12月の7・75%から上昇した。総合収益率は20年12月(1・72%)を底に5期連続で上昇している。
内訳をみると、都心5区のインカム収益率は4・23%、キャピタル収益率は3・95%。昨年12月時点のインカム収益率は4・30%、キャピタル収益率は3・45%だった。インカム収益率は空室率の上昇や賃料下落でやや低下傾向で推移している一方、キャピタル収益率は20年12月以降、緩やかに回復し、最近は建築費の高騰も加わって上昇が続いていると分析した。
大阪市の総合収益率は12・09%と昨年12月(9・98%)と比べ、都心5区よりも上げ幅が大きかった。インカム収益率は5・90%(昨年12月時点5・87%)とほぼ横ばいだったが、キャピタル収益率は6・19%(4・10%)と大きく改善した。
オフィスに限らず今後の不動産投資では、長期金利の動向も見据える必要性が高まっている。同時期に公表した「不動産投資家調査」の特別アンケートでは、想定する不動産投融資期間内における長期金利の上昇は「1~2%の水準」とする回答が7割近くに上った。
不動産投資市場に与える影響については「一時的に停滞するものの、その後は回復に向かうだろう」という回答が40・3%、「金利上昇を織り込み済みのため、大きな変化は現れないだろう」が22・4%を占めたが、「ピークアウトし、その後しばらくは後退局面が続くであろう」という回答も12・7%あった。
2023.12.8