国交省、不動産ID活用の社会実験開始

―宅建業者向け、都計情報を容易に取得

 国土交通省は、24年1月から宅地建物取引業者を対象とする「不動産ID活用社会実験」を始める。近く参加業者の募集を開始する方針だ。社会実験用に、国交省は地方自治体の都市計画情報などを、不動産IDから容易に取得できる実証サイトを構築する(一部の協力自治体分)。年内にも稼働予定の不動産ID確認システム試作版との併用により、不動産ID・都市計画情報の取得と、その先の重要事項説明書作成などの業務がつながる環境を試す。

 重説書にも使用できる、都市計画情報等の最新データ提供に協力する山形市、横浜市のうち旭区と栄区、兵庫県加古川市が対象地域。参加業者は、対象地域内の不動産取引に関して、まず不動産ID確認システム試作版により土地の不動産IDを取得。次に実証サイトを利用して、対象地域の都市計画情報等を取得する。その後レインズへの物件登録時に不動産IDを入力する流れ。

 不動産IDは、登記簿にある13ケタの不動産番号に、4ケタの特定コードを付けた17ケタの数字。国交省は、登記簿を取得しなくても不動産IDが簡単に生成できる確認システムを準備中。社会実験用の実証サイトにIDを入力すると、IDに紐づいた座標が地図上にプロットされる。クリックすると、その地点の区域区分・用途地域・建蔽率・容積率などが表示される。

 不動産取引での物件調査は、自治体の窓口訪問など、多くの手間と時間がかかる。不動産IDと、オープン化・デジタル化された都市計画情報を容易に取得できる環境を試行的に設定し、実際に宅建業者が活用することで、不動産IDの効果や課題、改善点を確認する。社会実験は2カ月間ほど実施する予定。

2023.11.24