買物商品をロボットが空中配送する実証

―住民の生活利便性向上、社会課題解決へ

 パナソニックホールディングスと東急、都市再生機構(UR)は、川崎市麻生区のUR虹ヶ丘団地で、空中配送ロボットを活用した新たな配送サービスの実証を開始した。配送業界の人手不足など社会課題の解決や、郊外住宅地での買い物の利便性向上を目指す。東急では実証で得た知見や技術を郊外での街づくりに生かしていく。

 団地敷地内に10本の電柱を建てワイヤーを通し、ワイヤーに釣られたロボットが空中で荷物を運ぶ。アプリを活用し、利用者が商品を注文すると、パナソニックのスタッフが店舗で商品をピックアップしてロボットに搭載。ロボットが団地中央の公園に設置した受取ボックスまで運ぶ。利用者はQRコードをかざして商品を受け取る。注文から商品到着までは最短30分で、対象は近隣の東急ストアと吉野家の商品。実証期間は来年3月末まで。送料は当面は無料で行い、後に有料化する。利用者は高齢者や子育て世帯を想定。既存の電柱も活用できるよう協議しているという。今後は団地内だけでなく東急ストアの店舗近くまでの延長も検討する。利用の頻度や目的、生活への影響を調査し、将来の本格稼働へ生かす。

 パナソニックは東急や伊豆急行と、伊豆の山間部で事前実証を済ませており、都市部での実証にあたり、東急が郊外の街づくりでコミュニティづくりに力を入れる「ネクサスチャレンジパーク早野」の近隣団地を所有するURに声をかけた。東急は街づくり視点に立ち、配送だけでなく防犯など別分野への応用や、住民の外出・交流の機会を作り、商品の受取場所を交流拠点にしたコミュニティづくりなどの構想も提案していく。

2023.11.24