不動産私募ファンド市場は33・4兆円に
―ARESと三井住友トラ研、規模拡大が加速
不動産証券化協会(ARES)と三井住友トラスト基礎研究所は共同で実施した「不動産私募ファンドに関する実態調査」の結果を公表した。調査では、6月末時点における不動産私募ファンド(私募REIT、グローバルファンド含む)の運用資産額ベースの市場規模を33・4兆円(22年12月末時点比約3・7兆円増)と推計した。前々回と前回の調査を比較した市場規模の拡大幅は約3・3兆円だったが、今回の調査で拡大の加速が明らかになった。
調査では、運用資産規模を拡大した会社数が、縮小した会社数を大きく上回った。円安進行を背景とした外資系運用会社だけではなく、国内運用会社にも資産規模の拡大が多くみられた。私募REITは、国内投資家の旺盛な投資意欲を背景に、5・6兆円(約0・6兆円増)に増加。前回調査では2・8%増加だったが、11・5%まで増加幅を広げた。
今後については、1年以内に組成予定のファンドの運用スタイルを「コア」とする回答割合が54%(8㌽減)と減少した一方、「開発」は15%(9㌽増)まで増えた。投資対象は「ホテル」が19%(9㌽増)へ大幅に増加した。投資エリアを「東京23区」「首都圏」とする回答が全体の半数近くで変わりないが、21年1月調査から増加基調の「地方圏」は19%(1㌽減)と頭打ちの傾向とみている。また、海外の金融市場における変調の影響で投資方針に変化があったかを尋ねたところ、「あった」は14%、「なかったが、今後ありうる」が42%で、動向を注視する姿勢がみられた。
調査は、7~8月に国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用する会社149社へアンケートを実施。86社(有効回答率57・7%)の回答を得た。
2023.09.22