宅建業者の役割、空き家の管理にも拡大
─国交省、24年度にビジネスモデル構築へ
国土交通省は、空き家に関わる宅地建物取引業者の役割の拡大を目指す。宅建業者と空き家との接点を、売買や賃貸といった仲介業務を行う「流通・利活用」の段階にとどめず、前段階の管理や相談対応にも積極的に関わることができるようにする。そのビジネスモデルの構築に向けた整理と検討に24年度から着手する方針で、概算要求に経費を盛り込んだ。
宅建業者が空き家にビジネスとして接するのは、利活用または売却など、空き家をどうするか所有者が意思を固めた段階になってから。宅建業者に接する前の段階で、空き家をどうすれば良いか決めかねている所有者も多いと想定される。国交省は、相談対応や管理の段階から宅建業者が空き家にアクセスすることは、その先の流通量の拡大にもつながると見込む。宅建業者が空き家の管理などを行う場合に受領できる報酬・手数料についても、宅建業法との関係を整理しつつ、宅建業者が赤字にならないビジネスモデルを示したい考え。空き家の場合、宅建業者が権利関係の整理や境界画定、残置物の撤去、インスペクションなどを行うことも想定されるため、その場合も含めて検討する。
国交省が不動産業界を対象に行った空き家管理ビジネスに関する調査(22年実施)によると、回答3990社中、空き家管理を行っているのは9%の379社。このうち、無償で行っている業者が34%存在する。
空き家の管理に関しては、改正空家特措法の施行(12月頃)に向け、国交省は第三者が空き家管理を行う場合の指針づくりも進めている。宅建業者の空き家の管理・相談対応のビジネスモデル構築は、空き家の第三者管理指針の内容も踏まえ、24年度中のとりまとめを目指す。
2023.09.15