国交省、データセンターの投資市場整備
―証券化、工場などの法人不動産へも拡大
国土交通省は、リートなどの取得対象となる物件の拡大を目指し、24年度にデータセンターの投資市場整備に着手する。データセンターを投資対象とした場合の特有の課題を洗い出し、関係法令の整理にあたる。また、証券化ニーズの広がりを受け、工場などまだ証券化が進んでいない分野への裾野拡大にも取り組む。総合的な取り組みにより、政府目標の「リート等の資産総額を30年頃までに約40兆円」の実現を目指す。
データセンターは設備比率が高い不動産で、建物よりも内部のサーバーのデータに大きな価値がある。また、誰が借りて使用しているのか企業名を明らかにすることも含め、情報が分かりすぎてしまうとデータのセキュリティの観点から問題になる。国交省が24年度からの検討で想定するのは、内部の資産の減価償却と、投資家への情報開示のあり方。課題となるポイントを洗い出し、必要であれば関係法令も整理する考え。
まだ証券化されていない、企業が保有する不動産の活用促進にも力を入れていく方針。鉄道会社やゼネコンの私募リート参入が相次ぎ、不動産証券化のニーズは高まっている。国交省が注目するのは、製造業が保有する工場や、学校も含む文教施設、病院など。証券化によるオフバランスという資金調達の手法を広げる。国交省は、08年に「CRE戦略を実践するためのガイドライン」を策定している。24年度から法人不動産の証券化ニーズの調査も行い、証券化のポイントも押さえたガイドライン改訂を目指す。
このほか、リートの築30年超の物件保有率が上がっていることから、リート保有物件の老朽化状況の調査も行う。リートが保有しながら改修を行った事例をまとめることも行う方針。
2023.09.15