再開発組合に国内初のグリーンローン

~みずほ銀ら10行で実行額975億円

 みずほ銀行と虎ノ門一丁目東地区市街地再開発組合は、コミットメントライン形式のグリーンローン契約を締結した。実行額は975億円。市街地再開発組合を借入人とするグリーンローンは国内で初めて。同ローンはみずほ銀がアレンジャーを務め、徳島大正銀行など全10行でシンジケートを組んだ。参加組合員は、中央日本土地建物、都市再生機構、住友不動産。本事業において開発される複合施設は、LEEDにおける予備認証GOLDを取得しているほか、今後ZEB(Oriented以上)、DBJ Green Building認証およびCASBEE建築における最上位ランクを取得予定。この結果、日本格付研究所(JCR)は、JCRグリーンローン評価で最高位のGreen1と位置付けた。

 「虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業」は総事業費約1084億円を費やし、国際競争力向上に資する都市機能の導入、ビジネス交流拠点形成に向けた都市基盤の拡充、防災機能の強化と環境への取組みをテーマに掲げる。みずほ銀は、参加組合員各社の信用力とプロジェクトへの確かなコミットメントを確認し、環境面・社会面両面に貢献できることを評価してローンの実行を判断した。

 「虎ノ門」(東京都港区虎ノ門1-2-1他)は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅と地下で直結する予定。敷地面積約6397㎡(約1935坪)、S・RC・SRC造地下4階地上29階建て、延床面積11万9890㎡(約3万6267坪)、高さ180m。着工は2024年1月で、竣工は2027年6月を見込む。低層部に店舗・ビジネス支援施設等が入居し、高層部はオフィスとする複合施設を計画しており、駅と一体となった国際的なビジネス交流拠点を整備する。

 産学官の垣根を超えたビジネスの創出を目指す「(仮称)虎ノ門イノベーションセンター」は、インキュベーション機能と霞が関近接という立地特性を活かした官民連携の両機能を持つ予定。中央日本土地建物が2020年から同じく虎ノ門で、「ソーシャルイノベーションハブ」としてトライアルを行ってきた。これにより、官民共創で東京の国際競争力向上を支える。また、虎ノ門駅と一体となった交通ネットワーク整備では、駅と地上を円滑につなぐバリアフリー動線を実現するほか、地下空間には約1300㎡(約780人分)の帰宅困難者用一時滞在施設および約600㎡の一時滞留スペースを整備する。さらに導入する地域冷暖房施設は、通常時のみならず災害時にも虎ノ門駅に熱供給を行い、駅機能のレジリエンス強化に寄与する。

 みずほ銀はサステナブルファイナンスを通じて、環境・社会への貢献を続けている。再開発事業は社会的意義が高い一方、大規模な資金を必要とする案件が多い。みずほ銀は、「ローンとしてグリーン認証を取得することで、多くの金融機関にプロジェクトの先進的な環境貢献を認識してもらい、円滑な調達体制の構築につながった」と述べており、開発の社会的意義を問う指標としてグリーン認証が作用し、サステナブルな都市更新と資金循環の歯車が回っていく。

2023.07.28