23年路線価、+1・5%で2年連続上昇
─東京国税局管内では32年ぶり下落ゼロ
国税庁は、相続税や贈与税の土地評価額のベースとなる23年分の路線価(1月1日時点)を公表した。全国平均は+ 1・5%で、2年連続の上昇となった。昨年の+0・5%を上回る上昇で、新型コロナウイルスの影響からの回復が鮮明になった。都道府県別で最も高い上昇を示したのは北海道の+6・6%(前年+4・0%)。5%以上路線価が上昇した都道府県が出るのは、20年(沖縄県+10・5%、東京都+5・0%)以来。札幌市を中心とする全体的な需要の高さが牽引した。
路線価が上昇した都道府県の数は25(前年20)に増加し、下落した都道府県は20(27)に減少した。路線価の最高地点は東京・中央区銀座5丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)で、1㎡当たり4272万円(前年比+1・1%)。38年連続で路線価全国トップとなったが、20年に記録した過去最高額4592万円には届かなかった。都道府県別では、首位の北海道に続き福岡県が+4・5%(前年+3・6%)、宮城県が+4・4%(+2・9%)。いずれも昨年を上回る上昇をみせた。最も下落したのは和歌山県で△1・2%(△1・3%)だったが、下落幅は前年から縮小した。都市別では、最高路線価が上昇した都市は29都市(前年15都市)で、昨年の倍に近い増加。横ばいは13都市(16都市)、下落した都市は4都市(16都市)。都市別でも、上昇都市の増加と下落都市の減少がみられる。
都道府県庁所在都市の最高路線価で全国トップだったのは岡山市の「北区本町市役所筋」で+9・3%(+1・4%)となり、前年の7倍近い上昇。市中心部で進む再開発が牽引した。
東京国税局管内(84税務署。所管=千葉県、都区部、多摩地域、神奈川県、山梨県)では、全税務署の路線価が上昇し、91年以来32年ぶりに下落した地点がゼロになった。東京でも回復傾向が鮮明になる一方で、東京都心部のオフィス街はまだ本格的な回復には至っていない。麹町税務署管内の「千代田区丸の内2丁目大名小路」は、前年の△1・3%から今年は0・0%の横ばいに乗せたものの、「テレワークが普及して、事務所の需要が戻っていない」(東京国税局)。「会食需要はまだ戻っていないが高級ブランド店の売上が堅調で、インバウンドも少しずつ戻っている」(同)という銀座の「中央区銀座5丁目銀座中央通り」は+1・1%(△1・1%)だった。近隣でもオフィスと商業にわずかながら差がみられる。回復が鈍い都心オフィス・商業とは対照的に、インバウンド観光客が戻りつつある浅草の「台東区浅草1丁目雷門通り」は、+7・0%(+1・1%)へとV字回復をみせた。
2023.07.14