環境認証を取得したオフィスビルは好調

―CBRE調査、水光熱費にもメリット

 シービーアールイー(CBRE)は、環境認証を取得した賃貸オフィスビル(グリーンビル)が、未認証の賃貸オフィスビルと比較して、賃料と稼働率の上昇がみられるとしたレポートをこのほどまとめた。23年3月時点の想定成約賃料のモデルで比較すると、グリーンビルは未認証ビルよりも5・4~6・4%ほど高い賃料水準という傾向がみられた。また、2010年以降の期間平均稼働率をグリーンビルと未認証ビルで比べたところ、概ね0・9~3・3㌽の差でグリーンビルの稼働率の方が高かった。

 CBREによると、23年3月末時点のグリーンビルの面積は、全国の主要13都市の貸室総面積の44%まで拡大した。横浜や東京では、4棟に1棟がグリーンビルで、面積では過半数を占めている。

 グリーンビルと未認証ビルの賃料の比較は、立地・規模・築年数別のモデルで比較。中小規模では、環境認証を取得しているビルの希少性が比較的高く、グリーンビルは未認証ビルより高い賃料水準だった。競争力の高い大型ビルでは環境認証の取得が比較的進んでいて、差別化が相対的に弱まったため、グリーンビルの賃料の方が高い水準だが、未認証ビルとの差は大きくなかった。一方で稼働率は、ビルの規模や築年数で差がなく、グリーンビルの方が高稼働だった。

 加えて、Jリート保有のオフィスビルで開示される水道光熱費の支出の変動も分析した。12年以降の期間で床面積ごとの1日当たり水道光熱費の支出を集計。水道光熱費の変動の主因を電気料金とみて、コロナ禍前の19年第3四半期と23年第1四半期を比較した。水道光熱費の支出は、グリーンビルが24・5%増加。未認証ビルの38・3%増加より増加幅が抑制された。

2023.06.30