法制審、建替え決議の緩和に2案提示
─所在不明者は裁判所の決定で決議除外
区分所有法の改正議論を進めている法制審議会(法相の諮問機関)の区分所有法制部会は、中間試案をまとめた。マンションの建替えをしやすくするための建替え決議の多数決要件(現行5分の4以上賛成)の緩和は、2案を提示。区分所有マンションの所有者不明問題に対応するため、裁判所が所在不明者を決議の分母から除外する仕組みも設けられる。24年通常国会に分所有法改正案を提出する方針。
建替え決議は、①「4分の3以上」に引き下げたうえで客観的な事情があれば更に緩和し「3分の2以上」とする②現行の「5分の4以上」は維持し、客観的な事情があれば「4分の3以上」とする─の2つの緩和案が示された。客観的な事情には、耐震性不足や火災安全性不足、外壁剥離で周辺に危害が及ぶ可能性がある場合などが想定されている。
連絡がつかない「所在等不明区分所有者」の決議分母からの除外は、裁判所の決定により行うこととなることも示された。決議の際に所在等不明区分所有者がいると、反対者と同じ扱いになるため、建替え決議など重要な管理に関する決定が阻害される。不明者以外の区分所有者や管理者などの請求により、裁判所は所在等不明区分所有者とその議決権を集会の決議から除外できる(所在等不明区分所有者の除外決定)。同除外決定の対象となる決議は、区分所有権の処分を含むすべての決議とすることが想定されている。
また、これまで全員合意が要件となっていて事実上困難だった、全ての専有部分の工事を伴う「一棟リノベーション決議」は、建替え決議と同様の多数決要件となる。
2023.06.16