盛土規制法が今日施行、規制範囲を拡大

―許可制で罰則を強化、工事施工者も審査

 全国一律の基準で盛土などを規制する「宅地造成等規制法の一部を改正する法律」(盛土規制法)が施行された。盛土規制法は、都道府県知事などが災害危険性の高い区域を指定し、区域内での盛土や土捨てなどを許可制にする。違反者への罰則も強化する。

 21年7月に静岡県熱海市で発生した盛土崩落による土石流災害を受け、盛土などに関する規制が強化された。盛土規制法では、「スキマのない規制」を第一テーマに掲げており、規制区域と規制対象とする行為をともに拡大。知事などは盛土などにより人家に被害を及ぼす可能性がある区域を規制区域として指定する。盛土の規制区域を指定することができるのは、都道府県、政令市、中核市。

 規制区域には、「宅地造成等工事規制区域(宅造区域)」と「特定盛土等規制区域(特盛区域)」の2種類があり、宅造区域には、改正前(宅造法)の「宅地造成工事規制区域」に加えて、危険な盛土などが発生しうる森林や農地、平地部の土地も含め、広く指定できるようになる。特盛区域には、市街地や集落から離れていても地形などの条件から盛土などが崩落して流れ込んだ場合に、人家に被害を及ぼしうるエリアが指定される。2つの規制区域の指定により、規制エリアを大きく拡大した。

 許可にあたっては、工事主の資力や信用、工事施工者の能力も審査される。盛土等の工事に対し、施工状況の定期報告や施工中の中間検査、工事完了時の完了検査を実施する。無許可行為や命令違反の罰則は、法人の場合、最高3億円の罰金が課される。個人は懲役3年以下・罰金1000万円以下。

2023.06.02