相続土地国庫帰属制度がスタート
―法務局で対応、審査料1・4万円に決定
相続しても利用しない土地を国が引き取る日本初の制度「相続土地国庫帰属制度」がスタートする。制度利用で最初にかかる費用「審査手数料」は土地一筆当たり1万4000円に決定した。窓口となる全国の法務局では相談受付が始まるなど、制度スタートに向け準備が進められている。
相続や遺贈によって、土地の所有権または共有持分を取得した場合でも、土地利用ニーズの低下により手放したいと考える人が多い。「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」の質問に「そう思う」と回答する人の割合は年々低下している(国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」)など、国民の意識も変化している。
同制度は、土地所有権の国庫帰属の承認を法務大臣に対して申請し、審査のうえ承認された場合、一定の負担金を支払うことで所有権を手放すことができる制度。以前に相続等で取得した土地も対象。負担金額は一筆20万円が基準で、土地の種目や面積などにより面積単位で計算する。
どんな土地でも承認されるわけではない。「却下要件」となる5類型に該当すると判断された場合は制度が利用できない。具体的には、①建物がある土地②担保権や使用収益権が設定されている土地③他人の利用が予定されている土地④特定有害物質で土壌が汚染されている土地⑤境界が明らかでない土地・所有権の存否や帰属などに争いがある土地―の5つ。
申請から承認の結果が出るまでの標準処理期間は半年~1年程度と見込まれている。ただし、エリアによって積雪などの理由で現地調査が遅れた場合などは標準処理期間を超える可能性がある。
2023.04.21