スマート化で既築ビルの機能向上可能に

―三菱UFJ信託、スマートシティ化も進行

 三菱UFJ信託銀行は12日、「デジタル空間と結びつくスマートビル、スマートシティ」と題したレポートを公開した。スマートビルは、建物各所からの情報を集めて処理し、建物内の機器の操作や建物利用者へ情報提供を行う建物オペレーションシステム(OS)を導入する。将来的に、建物OSなど制御ソフトの更新で、建物のハード面の修繕や更新よりも頻繁かつ容易に、ビルの省エネ性や安全性、快適性など機能の一部を改善できるようになると指摘した。

 スマートビルは、従来の設備機器や計測機器に加えて、IoT端末が情報を集めて施設内全体の空調や照明、入退館やエレベーターの混雑なども制御することができる。建物OSのデータをAIが学習し、より複雑な制御や情報のフィードバックなども行っている。竣工後も持続的なソフトウェアの更新による機能向上が可能で、オーナーや運営者にとって、「ビルの機能維持から機能向上重視へと、運営戦略をシフトしていく」と見通す。ビルのスマート化は、新築時以外にも大規模修繕などの機会でも可能。ビル利用者からも、快適で便利な機能が入居後に向上するかなども物件選びの要素に加わるとみている。

 建物OSは、街区の中で複数のビルをつなげることも容易と見込まれ、スマートビルの範囲を超えた街区に、様々なサービスを提供できる都市OSを備えたスマートシティの試みも進んでいる。交通機関や飲食店の来店客などの需要予測も可能となり、街区全利用者の利便性向上を想定。東京や大阪など中心部の実装が先行すると見込まれるが、その後は郊外や地方都市でも都市OSの導入で、先行する都市で実証されたサービスの効果を取り入れることが可能とみている。

2023.04.21