推進センター、不動産流通業のIT利用を調査

―電子契約・電子署名の検討事業者が最多

 不動産流通推進センターは、不動産流通業界でのIT技術の利用状況や効果、課題などをまとめた報告書を公開した。不動産業の従事者を対象に、インターネットを通じたアンケート調査(22年7月実施、有効回答数1095件)とインタビュー調査(同8~9月実施、対象者8事業者)を行った。

 調査では、DX推進に関する意識、各システムの導入状況やその背景・目的、効果などを尋ねた。今後の継続調査も行っていく予定。DX推進については「必要」が30・7%、「やや必要」が25・0%で、過半数が必要性はあると回答。従業員数や、年間仲介件数、管理戸数でみると、規模が大きい事業者ほど必要性を認める回答比率が高かった。システムの導入状況は「物件情報掲載・募集システム」が52・7%で半数を超えた。導入の検討は「電子契約・電子署名システム」が19・8%で最多。

 システム導入の背景・目的は「集客力アップ」「業務効率化」「顧客サービス向上」とする回答が多い。物件情報掲載・募集システムについて、従業員数30人以上の事業者は「業務効率化」の回答が多かったが、29人以下の規模では「集客力アップ」の回答が多かった。導入効果は、いずれのシステムも概ね7割以上が効果があるとし、一定の満足度がある状況がみられた。IT重説や電子契約、電子署名を使用したメリットは、「書類の印刷・保管の手間の省力化」が挙がり、デメリットに「説明内容を理解しているかが把握しにくい」とする回答が多かった。導入の課題は「運営・管理要員を確保すること」など。非対面取引に関しては、「顧客から要望がある場合に対応できるように準備すべき」とする回答が最多だった。

2023.03.31