不動産私募ファンド市場規模29・7兆円

―ARESと三井住友トラスト研が調査

 不動産証券化協会(ARES)と三井住友トラスト基礎研究所は共同で実施した「不動産私募ファンドに関する実態調査」の結果を17日に公表した。22年12月末時点の不動産私募ファンド(私募リートを含む)の市場規模を運用資産額ベースで29・7兆円と推計した。前回調査(22年6月末時点)よりも約3・3兆円増加し、私募ファンド市場に拡大の傾向がみられた。

 調査は昨年12月末基準で今年1~2月に実施し、不動産運用会社らが回答した。市場規模のデータには私募リートやグローバルファンドの国内不動産運用資産額も含まれる。調査を共同で行うのは2度目だが、三井住友トラスト基礎研究所は03年から単独で行っており、今回で35回目となる。回答者数は71社で有効回答率は62・8%だった。

 今回の調査ではグローバルファンドの国内不動産運用額の増加率が国内ファンドの増加率を上回った。昨年末の時点では、金利上昇が続く欧米よりも日本の方が高く安定したイールドギャップを期待できると多くのグローバルファンドが判断していた模様だ。日銀が昨年12月に金融政策を一部修正した影響については、投資方針に「変化なし」との答えが54%と過半に上った。ただ「投資額を縮小する」などの回答もあった。

 22年下期も「住宅」と「物流」への投資額を増やす傾向が続いた。今回は「商業」と「ホテル」の投資を減らすとの回答比率がやや低下。一方、海外投資家の「物流」への投資意欲は落ちた。首都圏を中心に価格上昇と需給緩和の傾向がみられることが主因のようだ。今後注力したいアセットは「オフィス」「住宅」「物流」が減り、「ホテル」の回答割合が増えた。

2023.03.24