空き家対策強化へ、改正法案を閣議決定

―政府、活用区域の創設や税軽減の除外

 政府は、空き家の利活用を集中的に進める区域の創設や、管理をおろそかにしている空き家を固定資産税の軽減対象から外すことを盛り込んだ空家対策特措法の改正案を閣議決定した。危険な「特定空家」になってしまう前の段階での対策を含めて、空き家対策の総合的強化を目指す。

 目玉はエリアを限定して空き家活用を集中的に進める「空家等活用促進区域」の創設だ。市区町村が主体となって区域内の空き家の活用指針を定める。場所や広さは自由に設定可能。空き家を増やすとまちの活力への影響が特に大きい中心市街地や、地域の再生拠点、観光拠点などが指定対象になると考えられる。区域内では、安全確保を前提に前面道路の幅員規制、活用指針に合った用途に変更する場合の用途規制などを緩和して、利活用や建替えをしやすくする。

 放置すれば周囲に悪影響を及ぼす特定空家となるおそれがある「管理不全空家」について、市区町村長から勧告を受けた場合、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1に減額)から外す措置も講じる。管理不全空家の基準は、国土交通省では「窓の一部が割れている」「壁の一部に亀裂が入っている」などを検討しているが、法施行までに正式にまとめる。

 施行は公布から6カ月以内。固資税の課税の基準日は1月1日。同日時点で管理不全空家として勧告を受けているとその年分から優遇措置が外れる。法施行後の自治体の準備も含めると、優遇措置が外れる管理不全空家が出始めるのは25年課税分からと見込まれる。

 このほか市区町村長がNPOや社団法人などを「空家等管理活用支援法人」に指定して支援する制度も設ける。対象には、不動産関連団体も想定されている。

2023.03.10