三菱UFJ信、海外投資家は慎重姿勢
―22年度下期私募ファンドの調査傾向から
三菱UFJ信託銀行は、22年度下期の私募ファンド調査の結果をまとめた。エクイティ投資家について、投資意欲を「強い」「やや強い」としたポジティブな回答は、国内投資家54.2%(22年7月調査比13.6㌽減)、海外投資家47.6%(14.8㌽減)に減少した。特に海外投資家のポジティブな回答は21年7月調査の86.3%から半数割れまで落ち、レポートで「慎重な姿勢が強まっているようだ」と指摘した。
調査は、1月末時点で不動産アセットマネジメント会社39社へ実施。回答率は52.7%だった。レンダーの融資姿勢は「改善」「やや改善」「変化なし(良いまま)」というポジティブな回答の割合が76.9%だった。レポートでは、ローン調達環境について「良好な状態が継続している」とみている。
エクイティ投資家の意欲は、イールドギャップが高水準であるため、国内・海外合わせて半数程度の投資家はポジティブな回答だった。海外投資家では、ポジティブな回答がアジア・パシフィック76.5%の一方、米国・欧州は30%台まで下がり、米欧での金利上昇・不動産価格下落など運用環境悪化が背景にあると分析した。
今後1年間の不動産投資マーケットに起きる変化の質問では、「アセットタイプの選別・細分化」や「ファイナンス条件の引き締め」などの回答に加え、「売却の増加」と「利回りの上昇」も増加した。不動産価格については、「ホテル」の価格上昇を見込む割合が大きく増し、「商業」は若干増だった。ESGへの関心は、前回調査と同じく100%。実際の取り組みとして、着手しやすい照明のLED化などを75%超が実施しているほか、設備更新時にエレベーター交換など環境性能を高めるリニューアル工事も50%超だった。
2023.03.10